皮膚科全般

カポジ水痘様発疹症

カポジ水痘様発疹症は、疱疹性湿疹ともいい、単純ヘルペスウイルス(HSV)が経皮感染して汎発性に発症したもので、初感染のみならず、再発で起こります。

1887年、Kaposiにより初めて報告された疾患です。もともと全身に水疱や膿疱をつくる疾患で、原因は、単純ヘルペスウイルス以外にも痘瘡ウイルス、コクサッキーウイルスもありましたが、痘瘡ウイルスが撲滅された現在、主に単純ヘルペスウイルスの感染を意味しています。

基礎疾患としてアトピー性皮膚炎患者がほとんどですが、ダリエー病、脂漏性皮膚炎、天疱瘡、紅皮症、魚鱗癬、熱傷、日焼けなど、皮膚炎上に発症することが多く、皮膚のバリアーが破壊して、HSVが経皮感染して発症することが考えられますが、アトピー性皮膚炎と同様に、罹患者数が多い尋常性乾癬では少ないことから、単にバリアーの破壊だけでなく、局所免疫も関与していると考えられています。

事実、本症はアトピー性皮膚炎患者の重症者に多く、軽症のアトピー性皮膚炎患者では、口唇ヘルペスや限局した顔面の単純ヘルペスで終わり、カポジ水痘様発疹症に発展することは少ないです。重症アトピー性皮膚炎患者では、ツベルクリン反応の陰性化やリンパ球幼弱化テストの低下などを示し、細胞性免疫機能の低下がみられています。

 

好発年齢

20代と30代にピークを認め、若年者ではHSVの初感染例が多いが、近年、HSVの抗体保有率が30歳代で47%と低くなっているために、成人でも初感染がみられるようになってきています。中にはカポジ水痘様発疹症を何回か経験しているものもみられます。

合併症

初感染では全身感染がみられ、肝障害などを起こし易い。ごく稀に肺炎、食道炎、脳炎などの全身感染症状が見られ、死亡することがあります。

とくに、免疫不全者ではウイルス血症を起こして全身感染し、顔面では、角膜ヘルペスを合併することがあるので注意する必要があります。

また、アトピー性皮膚炎病変自体が黄色または表皮ブドウ球菌が多く存在するので、伝染性膿痂疹やその他の細菌二次感染を起こし易い。カポジ水痘様発疹症は初感染の場合、重症化し、治癒までに2~4週間の日数がかかります。

検査

水疱底面より細胞を採取し、ギムザ染色を行って、ウイルス性巨細胞を証明するか、または採取した細胞をHSVのモノクローナル抗体で反応させ、HSV感染の有無を証明しなければならない。なお、ウイルス性巨細胞の証明だけでは水痘や帯状疱疹との鑑別はつかない。ペア血清でHSV抗体価が有意に上昇します。初感染では、HSV-IgM抗体が10日目頃より出現します。

 

 

治療

初感染の場合

抗ウイルス剤であるアシクロビル200mg錠を1回1錠1日5回内服を、7~10日間投与します。小児では1日40mg/kgを4回に分けて内服してもらいます。ただし、抗ウイルス剤の全身投与を5日間続けて治癒傾向がみられない場合、診断の間違いか、細菌感染症の合併を考える必要があります。

免疫機能の低下した患者

自己の免疫能力で治癒させる能力はないので、注意して治療に当たる必要があります。
軽症~中等症の場合、アシクロビル200mg錠を1日5回内服して経過を観察します。
重症の場合(初感染の場合と熱傷の罹患範囲で決定する)、入院させ、アシクロビルを5~10mg/kgを1日3回点滴静注を行う必要があります。

細菌感染を合併した場合

糜爛期、痂皮期になると、細菌感染を起こす場合が多く、しかも単純ヘルペスから伝染性膿痂疹へ移行することもあります。糜爛期、痂皮期のものは滲出液を顕微鏡下で菌要素の有無をチェックし、適宜細菌培養などを行います。細菌感染があれば、抗生物質の全身投与を行う。細菌感染のおそれのあるものでは、抗生物質の外用剤を予め併用することもあります。