皮膚科全般

アトピー性皮膚炎

かゆみ、特長的な場所に皮膚炎が出来て長期に続く病気です。アトピー性皮膚炎の原因は、複雑で多くの原因が関係していると言われています。

例えば、空気中のダニ、ほこり、カビ(カンジダ、白癬)、花粉、動物の毛やふけ、大気汚染、添加物を含む食べ物、ストレス。そして、誤ったな情報など,多くの因子が複雑に関係して発症します。
しかも原因が人によって微妙に異なっています。ですからある人に、効果のあった治療が別の人に同じように効果あるとは限りません。

いずれにせよ、皮膚のバリア機能が低下しているので、よかれと思っているスキンケアがかえって増悪させていることも、多々あります。

アトピー性皮膚炎は、怖い病気でなく幼児のアトピー性皮膚炎の90%以上が、小学生までに治ると言われています。大人のアトピー性皮膚炎も突然良くなる時があります。

同じアトピー性皮膚炎という病名でも程度の差(非常に軽い人から重症な人)がありますので、その人にあった治療法が大切です。

アトピー性皮膚炎は、人間にとってバイキンをやっつけるのに大切な免疫反応が、少し違った方向に働いておこります。このような、アレルギー反応のみを押さえ込んで、免疫を温存することは、難しいと思われます。
従って、ある程度仲良く付き合っていく気持ちになったほうが、楽に治療が進みます。

また、どんなに良い治療法でも、実行するのに時間的、体力的、経済的に大きな負担が強いられるような治療法も、日常生活が大きく制限されるようなものは、QOLを高めると言う意味ではマイナスといえるでしょう。
いかに、弱い薬を少量使って、より効果をあげるかが大切です。
それには、保湿剤や抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤を上手に使うことや、早め早めの手当てが、総量としてのステロイドを少なくすることが出来ます。

 

こどものアトピー性皮膚炎

一般的に子供に多い皮膚の症状は、耳ぎれ、Dry skin (身体が、乾燥してカサカサして細かいブツブツができること冬季に悪化します。)ここまでは、小児乾燥型湿疹という病名を付けていた皮膚科医(私も)も多いのですが、最近では、アトピー性皮膚炎の一つの型という分類が一般的になってきています。これは、上手なスキンケアで治まることも多いと思われます。

肘窩(肘の内側)、膝蓋(膝の内側)が赤くなりブツブツが出来て痒くなったり、じくじくしてきたり。目のまわりを中心の顔面が粉を吹いたようになっていて、おでこにしわがあるなどの特徴的な顔つきになることもあります。

 

治療のポイント

軽症のこどもの場合

普段のスキンケアが重要です。こどもの場合は特に皮脂も少なく刺激に弱いのが普通です。 入浴は固形の石鹸をよく泡立てて泡でふわふわっと洗ってください。ごしごしこするのは禁物です。ナイロンタオルやスポンジも泡をたてる道具と思って下さい。ゴシゴシこするとデリケートな肌が傷付いてしまいます。保湿剤もベタベタしないものやしみないものなどいろいろなものがでています。医師に希望を伝えると、あったものを投薬します。

悪化した時は、弱いステロイドの外用薬ですから、朝と入浴後に赤くなって痒いところにつけてください。バリアーの壊れた皮膚はバイキンがついてトビヒになりやすいので、しるがでてきたら、医師の診察を受けて下さい。保湿剤とスキンケアで十分な状態にするのが目標です。

中程度症の子供の場合

悪化した時は、通常弱いステロイドで十分ですから朝と入浴後に、赤くなって痒いところにつけてください。内服も短期に併用することが、掻く習慣を無くするために有効です。ビタミンの内服と時々のメンテナンスで十分な状態にするのが目標です。

重症の子供の場合

非ステロイドの塗り薬だけでは、コントロール出来ませんから、内服薬(抗アレルギー剤など)を続けてください。適当な強さのステロイドを処方しますので皮膚科医を信頼して使用してください。全体としてステロイドを最低限で押さえたいので、ワセリンなどの軟膏を上手に使えるようになるとお母様も上級者と言えます

1才前後までは、血液検査で食べ物に反応がでることがよくあります。血液に反応が出ただけでは、必ずしも、それがアトピー性皮膚炎の原因とは限りません。
必ず、医師の指導のもとに除去試験、負荷試験を行いましょう。
完全除去を2週間行って、症状が軽くなれば、プログラムに従って負荷試験を行います。
除去試験を行っても症状に変化がない場合は食物アレルギーが原因ではないので、他の増悪因子を探します。

大人も子供も、増悪因子として多いのが、ダニ、ホコリ、動物のフケ、タバコの脂、科学物質、花粉。大人に多い皮膚の症状は、顔が赤く、頚から全身に症状が広がります。
女性の場合、主婦手湿疹や化粧かぶれがひどくなるのも特徴です。
また、トビヒやミズイボにかかりやすかったり、ヘルペスがひどくなってカポシ水痘様発疹症という特異な形をとることがあります。

成人の場合

自分の病気を正しく理解し、主体的に治療しましょう。どんなことをした時に悪化するのか、とういう時が調子がよいのか、ステロイド以外もたくさんの薬があります。アトピーと戦わないで、アトピーと仲良く付き合う位の気持ちになると楽になります。

アトピーも身の内です。また、皮疹が変化したら、病気の程度が変わったか別の病気かもしれませんので、ご相談ください。